日本の心 鏡餅を供える 「一年の計は元旦にあり」といわれるように、日本人は一年の節目であるお正月をことのほか大切に考えています。
お正月の基本は、人々が年をとること、つまり年齢を一つ重ねることにあります。
お正月にお供えする鏡餅はその年に収穫された新米で作られます。その搗き固められた餅には清らかな米の霊力が宿ると考えられました。よって鏡餅は、年神様の宿る供物であるとか、年齢を重ねる生命力が宿るなどと考えられてきたのです。
ご不幸があった年のお正月には年賀状を出すのを控えるのが普通ですが、門松や注連飾りを控えるということはしません。お雑煮も食べますし、お年玉ももらえます。同様に、鏡餅もその年の健康と幸運を祈って供えると良いでしょう。
たとえご不幸があったとしても、生きている人間が正月に新しい年を取らない訳にはいきません。むしろ、元気で縁起の良い年にするためにも、鏡餅を供え、それをいただくことは大切だと考えます。
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※地方や各家庭によって呼称や作法は異なります。
新谷 尚紀
(しんたに たかのり)
民俗学者(社会学博士)、
1948年広島県生まれ。
早稲田大学第一文学部史学科卒業、同大学院史学専攻博士課程修了。
国立歴史民俗博物館教授・総合研究大学院大学教授。
おもな著書に『神々の原像』吉川弘文館、『日本人はなぜ賽銭を投げるのか』文藝春秋、『日本人の春夏秋冬』小学館、『ブルターニュのパルドン祭り』悠書館、『お葬式−死と慰霊の日本史−』吉川弘文館、『伊勢神宮と出雲大社−「日本」と「天皇」の誕生』講談社、など。